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第012回 無声期日本映画のスチル写真(2)─日活向島篇②1920年代 – NFAJテストサイト

NFAJ Digital Gallery – No.12

公開日:2016年3月18日

第12回 無声期日本映画のスチル写真(2)─日活向島篇②1920年代

「無声期日本映画のスチル写真」第2回は、前回に引き続き日活向島撮影所で製作された作品を取り上げます。前回同様、写真はすべてフィルムセンター所蔵の反町茂雄旧蔵衣笠貞之助コレクションに属するものです。

※解説・あらすじは文献に基づく。
※スチル写真に添えられた俳優名は文献・考察に基づく。

『小松島』(1920年)
Komatsujima (1920)

高勢実(左)、衣笠貞之助(右)

1920年1月14日公開 浅草 オペラ館 First release: Jan. 14, 1920
監督:小口忠 Director: Tadashi Oguchi

原作は村井弦斎が雑誌『婦人世界』に連載していた小説。未亡人のお藤(五月操)は小田原の大洪水で全財産を失い、ある別荘の門前に幼い我が子を捨てた。幼子は別荘の主である陸軍少佐の栗山義雄(藤野秀夫)に拾われ、栗山家の養女となった。美しく成長した小夜子(衣笠貞之助)は、親類で画家の鳥海勇(高勢実)と恋仲になっていた。しかし、勇が写生旅行で不在の間、養母(東二郎)に神戸の豪商の息子銀野甚三(藤川三之助)との縁談を進められてしまう。旅から戻った勇は小夜子の縁談相手である甚三が旅先で写生した人物であることを知る。勇の絵には酔っ払って芸者とカッポレを踊る甚三の滑稽な姿が描かれていた。小夜子は勇と将来を誓い合う。しかし小夜子は「乞食の捨て子」という陰口を聞いてしまい、その引け目から縁談を受け入れることにする。勇は小夜子の出生を調べ実父が大きな材木屋であったことをつきとめるが間に合わず、小夜子は銀野家に嫁ぐ。それから数年の後、義雄の命日に実家へ帰省した小夜子は、勇から実母のお藤が病気であることを聞かされ会いに行く。女中は小夜子の出生の秘密を甚三に告げ口する。小夜子は甚三に絶縁され、陸前小松島の尼寺に行く。栗山家は小夜子の居場所をつきとめたが小夜子は説得されなかった。勇もまた尼寺へ駆けつけるがすでに彼女の姿は無く、古沼のほとりに小夜子の遺書が置かれていた。


『黒髪』(1920年)
Kurokami (1920)

森清(左)、衣笠貞之助(右)

1920年3月1日公開 浅草 オペラ館 First release: Mar. 1, 1920
監督:田中栄三 Director: Eizo Tanaka

原作は1912年7月から11月にかけて遅塚麗水が『都新聞』に連載していた新聞小説で、1913年に次いで二度目の映画化。鎌倉の海鏡庵で修行している美貌の尼僧妙貞(衣笠貞之助)は、隣家の晩餐に招かれた席で、自分に顔立ちが似ている芸者たんぼ(森清)に会い、その美しい艶姿に心を乱される。出来心から島田のカツラをつけてみた妙貞は、日頃から彼女を妬む醜女の尼僧妙覚(五月操)に折檻されてしまう。耐えかねた妙貞は、隣家に出入りする青年赤城峰雄(高勢実)の甘い誘いに乗って出奔する。しかし赤城に貞操を奪われそうになったため逃げ、入水自殺を図る。水から救われた妙貞はやがてある御屋敷の女中となるが素性を知られそうになったため再び逃げ出す。しかし女衒にさらわれて外国へ売り飛ばされそうになり、すんでのところを海賊の太郎(藤野秀夫)に救われる。太郎は妙貞の身の上話から、妙貞とたんぼの二人が幼少時に大津波で生き別れになった妹たちと確信する。※物語は原作小説による。


『白鳥の歌』(1920年)
Hakucho no Uta (1920)

衣笠貞之助(中央)、藤野秀夫(右)
衣笠貞之助(左)、藤野秀夫(右)

1920年4月3日公開 浅草 オペラ館 First release: Apr. 3, 1920
監督:田中栄三 Director: Eizo Tanaka

長田幹彦が1919年8月から1920年3月にかけて『大阪毎日新聞』『東京日日新聞』に連載していた新聞小説の映画化。長田がスタジオで「指導」し、原作の場面を生かした背景が評価された。伯爵家の継嗣である西野輝昭(新井淳)は、大河原子爵(東二郎)の娘の葉子(島田嘉七)と政略結婚した。愛のない生活に嫌気がさした輝昭は、女中の久代(衣笠貞之助)に恋心を打ち明けるが、久代の父で本家の家令の横山(横山運平)に遮られた。久代は恋人の三好信雄(藤川三之助)に相談するが、不貞を疑った父に仲を引き裂かれたうえに絶縁を言い渡され行方知れずとなる。やがて輝昭は由井博士(藤野秀夫)の愛人である歌劇女優の千種栄子(東猛夫)と関係を持つ。栄子はかつてアメリカで同棲していた洋画家の波川五郎(高勢実)を捨てて由井と逃げた過去があった。波川は栄子との一子である一郎を連れて由井邸を訪ねるが栄子は会わなかった。一方、輝昭の妻である葉子は、夫に顧みられない寂しさから男爵との不倫の恋に走り心中を遂げ、輝昭の心は、ますます栄子へと傾く。ある日、「白鳥の歌」の舞台に立つ栄子の前に狂気の波川が襲いかかった。しかし、由井の返り討ちに合い「お前達二人を必ず呪い殺さずにはいない」と言って死ぬ。由井は栄子と海外逃亡しようと迫るが、もはや輝昭に夢中の栄子はそれを断る。由井は怒りのあまり栄子をピストルで撃ち殺す。そして横領の罪が露見し、追手が迫っていることを知った由井はピストルを自分の喉にあてた。


『落潮』(1920年)
Ochishio (1920)

衣笠貞之助(右)
藤野秀夫(左)、東猛夫(中央右)、衣笠貞之助(右)

1920年5月14日公開 浅草 オペラ館 First release: May 14, 1920
監督:小口忠 Director: Tadashi Oguchi

小栗風葉が1919年1月から7月にかけて『読売新聞』に連載していた新聞小説の映画化。大榎村で十五代続く旧家の当主である三島庸介は株相場で失敗して破産し、成金の押川吾平に邸宅を奪われた。吾平はかつて庸介の妻お濱を金の力で妾にしていた。村を追われた庸介は子の房江(東猛夫)と宏の姉弟を連れて上京するが間もなく病気になり、三島家再興の遺言を残して死んだ。ある日、長屋の井戸端で洗濯していた房江のたらいにテニスボールが落ちる。取りに来た青年は子爵の跡取り息子の神尾篤(藤野秀夫)で房江の幼馴染だった。篤には許嫁の倫子(衣笠貞之助)がいたが房江との恋が再燃する。しかし共通の幼友達である市太郎もまた房江に思いを寄せており、実は彼の父こそが三島家を不幸に追いやった押川であった。市太郎から姉弟の居場所を聞いたお濱は彼らを訪ねるが冷たく追い返される。そんな折、神楽坂の売れっ子芸妓となった房江のもとへ子爵夫人が訪ねて来て、篤の将来の為に身を引くよう頼み、房江は受け容れる。篤は房江が会うのを拒むのは市太郎に気が移ったためと疑い殴りつける。房江は吐血して倒れ、やがて病を得る。宏はそもそもの不幸の根源は押川家にあると仇討を決意し、三島家の家宝の刀で吾平を斬り付けたが力及ばず、息子を庇ったお濱とともに突き返された。母性に目覚めたお濱は家宝の刀で吾平を刺した後、我が身も刺して罪を償った。その頃、房江は病状が悪化し転院していた。海岸の病院へ見舞った宏はお濱による復讐の結末を知らせると、房江は安心して目を閉じた。窓の外には落潮時の沖鳴りが聞こえ、篤と倫子も彼女の臨終を見守っていた。


『尼港最後の日』(1920年)
Niko Saigo no Hi (1920)

五月操(左)、新井淳(中央)、森清(中央左)、島田嘉七(中央右)、衣笠貞之助(右)

1920年8月1日公開 浅草 オペラ館 First release: Aug. 1, 1920
監督:坂田重則 Director: Shigenori Sakata

1920年初頭、シベリアの要港ニコライエフスク(尼港)で起きた「尼港事件」を題材にした作品で、日本語のみならず英語の字幕も付して公開された。夜間撮影に当時は未だ新しい人工照明を用いたという。同題材は、国活でも劇映画『恨の尼港』(1920年8月1日公開)と記録映画『惨劇の尼港』(1920年9月4日公開)として映画化されたほか舞台化もされ、曾我廼家五九郎一座などによって上演された。また、浅草公園内の吾妻座跡地では「尼港遭難実況展覧会」(1920年9月11日開場)が開催され、事件のようすがパノラマやジオラマによって展示された。ロシア内戦のさなか、樺太の対岸に位置するニコライエフスクに在留している日本人が、陸海軍の守備隊と共にパルチザンによって包囲される。石田領事(藤野秀夫)は直談判を試みるが敵弾に倒れる。それを知った石田夫人(衣笠貞之助)は愛児ふたりを手にかけ自殺する。囚われの身となった花子(東猛夫)は春をひさぐ女であったが、敵の凌辱を拒み悲壮な最期を遂げた。